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ラトゥールってどんな画家?生涯から絵画作品まで解説します!

記事の内容

・画家ラトゥールについて

・画家ラトゥールの絵画作品について

記事を読むメリット

・ラトゥールの技法を取り入れて絵がもっとうまくなる

・ラトゥールの作品をもっと楽しめる

ラトゥールってどんな画家?生涯から絵画作品まで解説します!

こんにちは。松河潤です。

コントラストがはっきりしたドラマチックな絵画ってかっこいいですよね。

油絵の世界では「キアロスクーロ」という技法を使うと

コントラストのはっきりした画面になることが多いです。

オランダ黄金期の絵画によく使われる技法ですね。

そんな「キアロスクーロ」で有名な画家といえばラトゥール

今回は、そんな画家ラトゥールについてお話していきます!

リアルで神秘的な絵画を描きたいという人は必見ですよ!

オランダ黄金期の絵画やキアロスクーロについてはこちら

ラトゥールとは

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593.3.19~1652.1.30))は

ロレーヌ地方の画家です。

ロレーヌ地方とは、現在のフランス領でドイツに近い位置にある地域です。

ロレーヌ地方で生まれたラトゥールは、

スイス人画家クロード・ドゴスの下で絵を学び、

その後ジャック・ド・ベランジュからマニエリスム的な表現を教わったと言われています。

「マニエリスム」とは後期ルネサンスに見られる美術様式ですね。

ルネサンスについての記事はこちらから

1617年からロレーヌ地方のリュネヴィルに移住し、

1620年には弟子をとっています。

その後パリに出てルイ13世から「国王付画家」の称号を与えられました。

生前も有名な画家であったことは間違いありません。

しかし、ラトゥールの作風は当時は革新的だったことに加え、

ラトゥールの作品とは対照的なロココ美術がはやりだしたこともあって

ラトゥールは次第に忘れられていきました。

ラトゥールが再評価されたのは20世紀に入ってからのことでした。

ロココ美術についての記事はこちらをどうぞ

ラトゥールの作品の特徴

ラトゥールの作品の特徴は、なんといっても

キアロスクーロを使用することで明暗をはっきりさせた、

リアルかつドラマチックな作風です。

写実的でありながらどこか神秘的な雰囲気も漂う作風は

まさにラトゥールの作品の典型的な特徴といえるでしょう。

キアロスクーロを用いた明暗の対比が特徴的な絵を多く描いたため、

「夜の画家」とも呼ばれています。

このような作風は、カラヴァッジョの影響もあると言われています。

言われてみれば、ドラマチックな作風はカラヴァッジョそっくりですね。

カラヴァッジョについての記事はこちら

テーマとしては、聖書から題材をとったものも多く、

そのほとんどが明暗の対比がはっきりした作風で描かれています。

神秘的で静かな雰囲気が聖書にあっていたのかもしれませんね。

「夜の画家」という呼び名で有名なラトゥールですが、

昼の情景を描いた風俗画も残しています。

昼と夜では作風が違いすぎて一見するとラトゥールの作品だとわからないですね…。

ラトゥールの絵画作品

聖ヨセフ

ラトゥールの代表作といえば、「聖ヨセフ」(1642または1645)です。

「聖ヨセフ」とは、

「新約聖書」に出てくる聖母マリアと結婚したイエスの義父です。

「大工の父」とも呼ばれていますね。

イエスが後に受難を象徴した十字架を背負って罪をあがなうことは有名ですが、

この絵ではイエスが背負う十字架を表す角材にヨセフが穴をあけている場面です。

ヨセフの横でろうそくをもっている子供はイエスです。

当時は宗教改革の流れが強い社会だったので、

聖ヨセフ信仰が強まっていました。

そのため、「聖ヨセフ」自体はありふれた題材だったのですが、

やはりこの作品が注目された理由はその作風でしょう。

イエスが持っているろうそくの光に照らされる二人の描写は、

リアルでありながらもどこか透明感があります。

ろうそくの光とあたりの闇がはっきり対比されているので、

すぐにこの作品に目が釘付けになってしまいます。

ヨセフの視線はイエスに、

イエスの視線はヨセフに向いています。

その様子は、

言葉にせずとも伝わる静かな信頼を表すかのようです。

また、この作品では、

ヨセフが立体的に、リアルに描かれているのに対し、

イエスは平面的で様式的に描かれています。

年齢も経験も違う二人を対比させようとしてこのような表現をしたことは明白です。

絆に背景はいらない、ということを感じさせる作品です。

悔い改めるマグダラのマリア

ラトゥールは聖書からテーマをとることが多い画家ですが、

その中でも「悔い改めるマグダラのマリア」シリーズは特に多いです。

この作品は「鏡のマグダラのマリア」とも呼ばれています。

この作品に出てくるマリアは、

新約聖書ルカ福音書に出てくる

イエスの足に涙を落し、自らの髪で拭い、香油を塗ったとされる女性のことで、

「罪深い女」として描かれています。

現代の感覚だと、「別に罪深くもなんともないやん」と思ってしまいますが、

イエスが神と認識されている中で

このような不敬行為に及んだことは「罪深い」にあたるわけです。

当時の感覚は理解しづらいところがありますね…。

この絵はそんなマグダラのマリアが自身を悔い改めている場面です。

視線はろうそくに向き、左手で触っている者は頭蓋骨です。

いきなり頭蓋骨が出てくると驚くかもしれませんが、

武士といえば刀、力士といえばちゃんこを思い出すように、

マグダラのマリアといえば頭蓋骨、というような象徴性のあるものの一つなのです。

ほのかなろうそくの光に照らされ、マリアの憂いを帯びた表情が浮かび上がっています。

じっと見つめているとこちらまでその空気感に没頭してしまいそうな雰囲気があります。

キアロスクーロやリアルな表現が効果的に使われており、

幻想的な雰囲気すらも感じさせるような作品です。

女占い師

やはり「夜の画家」といわれるだけあって、

夜の場面の絵のイメージが強いラトゥールですが、

この作品のように昼の情景を描いたものもあります。

白帽子をかぶった女占い師が若い男を占う場面を描いたものです。

ちなみに風俗画ではこのような占い師のテーマはよく見られます。

この作品はただ若い男が占い師に占われているだけ…

のように見えますが実はそうではありません。

男の周りにいる女性の手元に注目してください。

画面左の女性が男性の服の下に手を伸ばし、男性の持ち物を盗もうとしています。

占い師と男性の間にいる女性は男の持っている鎖を切っています。

男性の背後にいる女性の手元はよく見えませんが、

おそらく何らかを奪おうと近づいています。

つまりこの作品は騙されて金品を盗まれる男性の様子を描いているのです。

男性の周りにいる女性たちはおそらくはジプシー(ヨーロッパの放浪民族)です。

ジプシーは女性は占いなどで生計を立てる人が多かったので、

この場面はジプシーの女性たちがグルになって男性をだましているところでしょう。

衣服などのリアルな描写や、

緊迫した場面女性たちのなんとも言えない真剣な表情

見ているこっちがどきどきして目が離せなくなってしまう作品です。

まとめ

・ラトゥールは「夜の画家」と呼ばれるほど明暗の描写が得意な画家

・聖書を題材にした神秘的な絵を得意とした

・代表作には「聖ヨセフ」や「悔い改めるマグダラのマリア」などがある

キアロスクーロを活用し、自分の独自の作風に落とし込んでいったラトゥール。

現在見てもその完成度の高さには驚かされます。

絵画は陰影をうまく表現できると見ごたえのある絵画になるので、

ぜひラトゥールの作風を取り入れてみてくださいね!

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