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画家シャルダンについて解説!絵画作品などについても紹介します。

記事の内容

・画家シャルダンについて

・シャルダンの絵画作品について

この記事を読むメリット

・ロココ美術をより楽しめるようになる

画家シャルダンについて解説!絵画作品などについても紹介します。

こんにちは!松河潤です。

絵画の様式ってたくさんあって、

有名なものだと印象派とかルネサンスとかいろいろあると思うんですが、

ロココも有名な様式の一つだと思います。

優美で繊細な絵を描く画家がロココの時代にはたくさんいたのですが、

シャルダンもそのようなロココ時代の画家の1人です。

今回は、そんな画家シャルダンと彼の絵画作品に迫っていきたいと思います!

ロココ様式の絵画についてはこちら

印象派の絵画についての記事はこちら

ルネサンスの絵画についての記事はこちら

シャルダンとは

Jean-Baptiste Siméon Chardin 023.jpg

ジャン・シメオン・シャルダン(1699.11.2~1779.12.6)はフランスの画家です。

自画像だけみると優しそうなおじさんですね。

パリで家具職人の父親の下に生まれたシャルダンは、

歴史画を得意とするカーズという画家の工房に入り、画家として働き始めます。

カーズとは別に、ノエル=ニコラ・コワペルにも弟子入りし、

短期間の間ですが助手を務めたこともあります。

フランスの美術界では、「アカデミー」が権力を持っており、

画家として認められるにはこの「アカデミー」に入会するのが大前提なのですが、

シャルダンも「赤エイ」という作品で1728年に王立彫刻アカデミーに入会しています。

その後、フランスのサロンにたびたび出展し、

1733年頃からは風俗画を多く描くようになります。

シャルダンの風俗画のモチーフとしては食卓の風景や、遊ぶ子供など

日常生活に基づいたものが多いです。

国王の年金を受けたり、アカデミーの会計官、サロンの陳列委員なども務めたほか、

ルーヴル宮殿にアトリエ兼住居を用意してもらっています。

至れり尽くせりですね。

当時のフランスでは歴史画が重要視され、風俗画はどちらかというと軽く見られていたので

風俗画を描きながらこのような扱いを受けていたシャルダンはかなり珍しいと言えます。

あのエカチェリーナ2世もシャルダンの作品を依頼するほどだったそうです。

Catherine II by J.B.Lampi (1780s, Kunsthistorisches Museum).jpg
ロシア皇帝エカチェリーナ2世

王侯貴族御用達画家といったところでしょうか。

しかし晩年期は視力がおち、油絵ではなくパステルを使って絵を描くようになりました。

作品の特徴としては、

理知的で静か、穏やかな場面を描くことが多いのですが、

繊細ながらも重厚で柔らかな空気感のある色彩が強い印象を残しています。

その作風は、「近代絵画の父」と呼ばれたセザンヌマティスなどにも影響を与えました。

セザンヌについての記事はこちら

シャルダンの絵画作品

赤エイ

「赤エイ」(1728)は

シャルダンが王立彫刻アカデミーに入会する決め手となった作品です。

主役の赤エイにばかり視線がいきがちですが、

画面の奥に見える猫や、食器など、見どころの多い作品です。

描かれているモチーフの一つ一つがリアルであることは勿論、

全体的な静かな雰囲気とそれに似つかわしくない猫の激しい表情の描写や

一見地味に見えつつも口元や赤い血に目が言ってしまうような赤エイの描写が見事です。

17世紀にはフランドルの画家の静物画が有名だったのですが、

肖像画家のニコラ・ド・ラルジリエールがこの作品を見たときに

フランドルの画家の作品だと勘違いして絶賛した話は有名です。

手紙に封印をする女性

「手紙に封印をする女性」(1733頃)は

1738年のサロンに出品された作品です。

「手紙」フェルメールなども好んで使った

オランダ黄金期の絵画でよくみられるテーマです。

オランダ黄金期の絵画についての記事はこちら

おそらく結婚しているであろう女性が召使いの男性に

手紙と封をするための赤い蝋燭を向けています。

表情を見るだけで女性と召使いの温度差がわかりますね。

この作品の注目すべき点は

本物のようなリアルな表現と

特に対象が浮かび上がるかのような光の表現です。

興奮する女性の肌の色調や、衣服や家具などの繊細でリアルな描写は

見るものを絵に引き込んでしまいます。

また、当然のようにこの作品では

三角構図という画面に安定感を持たせる構図が使われており、

構図の安定感も魅力の一つです。

食前の祈り

「食前の祈り」(1740)は

1740年のサロンに出品され、

当時のフランス国王ルイ15世に捧げられた作品です。

「食前の祈り」とは当時のフランスの風習で、

フランドルの絵画などで多く扱われてきたテーマです。

この絵では、母親が赤い帽子をかぶった娘に食前の祈りをするように言いつけ、

赤い帽子の娘の姉と思われる少女がその様子を見守っています。

この作品が描かれた当時は作物が凶作だったため、

少ない食物に感謝して食べなければならないという

教訓が込められた作品だとする見方もあります。

静かで柔らかな雰囲気ながらもどこか高潔な印象も受けるこの作品は

シャルダンの長所が出た傑作と言えるでしょう。

ブドウとザクロ

この「ブドウとザクロ」(1763)は

シャルダンの晩年期の傑作と言われています。

ザクロの赤々とした実が美しく、

思わず食べたくなってしまいます。

果物のみずみずしい質感が良く表れています。

果物だけではなく、グラスや陶器などの硬質な質感も、

手前の果物と対比されて際立っています。

また、陶器のてっぺんを頂点とした大きな三角形によって構成されており、

画面の構成の安定感も抜群です。

静物画のお手本のような作品といっても良いでしょう。

まとめ

・シャルダンはロココ時代を代表するフランスの画家

・風俗画が多く、静かながらも重厚感のある作風が特徴

・作品には、「赤エイ」や「食前の祈り」等がある

ロココ時代の絵画といえば、貴族の肖像画や歴史画、神話画などのイメージが強いですが、

シャルダンのように、優れた風俗画を残した画家もいます。

シャルダンの絵画技法は現代でも参考になる点が多いほど基本に忠実なので、

絵を描くときに分析してみるのもおすすめです。

その他の有名画家についてはこちらの記事をどうぞ

「油絵の描き方、本当にこれであってるかどうか不安…」

「油絵を描いてるけどなんかうまくいかない…」

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