記事の内容
・バロック美術について解説
・バロック絵画の代表作を紹介
この記事を読むメリット
・美術史で重要なバロック美術について知ることができる
・バロック絵画の有名画家について知ることができる
バロック美術とは?代表作の絵画から学ぼう!
こんにちは。松河潤です。
美術史には重要な時代が様々ありますが、
「バロック時代」はその中の一つです。
絵画だけでなく、音楽の分野なんかでも聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
今回は、そんな美術史上で特に重要なバロック美術について解説していきます!
バロック美術の代表作の絵画もあるので、作品も鑑賞しながら見ていきましょう!
バロック美術とは?
バロック美術とは、
16世紀末から17世紀初頭にかけてイタリアで誕生し、
ヨーロッパに広まっていった美術・文化様式です。
比べる対象じゃないのはわかっているのですが、
ルネサンスと比べると全然時期も短いですね。
ちなみに、バロックはルネサンスのちょうど後ぐらいの時期です。
バロック美術の背景
「バロック」というのは
真珠や宝石のいびつな形を表す「barocco」というポルトガル語からきているとされています。
これは当時の芸術家が付けた名前ではなく、後世の人からそう呼ばれたらしいです。
バロック美術が流行した背景には、やはり社会的な情勢が関係してきます。
バロック美術画台頭した時代は、
キリスト教の新派であるプロテスタントが台頭してきた時代でした。
プロテスタントは宗教改革を求め、日々勢力を強くしていました。
このプロテスタントの宗教改革に対し、キリスト教の旧派のカトリックは、
カトリックの威厳を強調し、示すためにバロック美術を用いるようになったのです。
バロック美術は、
カトリックの「対抗宗教改革」の意思表示の象徴でもあると言われています。
宗教と美術が結びついているなんて現代では考えられないことですが、
当時はこのように宗教と美術が合わさるのは普通のことだったのです。
バロック美術の特徴
バロック様式は絵画だけでなく音楽や建築など様々な分野で見られました。
バロック美術の絵画の特徴は、
動き出しそうな激しさと、過剰な装飾です。
先ほども言いましたが、バロック美術はプロテスタントが進出してきたころ、
つまり社会が新しい文化や科学技術の登場によって変化する時代です。
そのため、
ヨーロッパ全体でみられる宗教戦争などの社会の分裂が多かった時代です。
そのような社会の情勢や人々の心情を表したものなのか、
激しく、変化の多い表現が特徴です。
バロックの前の時代のルネサンスが調和・均衡のとれた表現が多かったのに対し、
バロックは激しく、豪華な印象です。
このバロックを境に、アートの中心はイタリアではなくフランスに移ることとなりました。
バロック時代の画家
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
カラヴァッジオ(1571.9.28~1610.7.18)は
バロック時代のイタリアの画家です。
ルネサンスのミケランジェロ(「ピエタ」とか「最後の審判」で有名な人)
とは違う人なのでご注意を…!
バロック時代には
「キアロスクーロ」(真っ暗な中で強い光を当てて描く対象を浮かび上がらせるように描く方法)
が良く見られたのですが、
カラヴァッジオはこの「キアロスクーロ」を確立させた画家として有名です。
キアロスクーロによって描かれた絵画は、リアルかつドラマチックに見えるため、
今でも人気のある描き方の一つです。
当時はリアルに絵を描くという習慣がなかったので、
かラヴァッジオはめちゃめちゃ非難されました。
カラヴァッジオの作品
そんなミケランジェロの代表作の一つが
「愛の勝利」(1601~1602)です。
なんかかっこいい名前ですね。天使のポーズもかっこいいし。
この作品はローマで当時もっとも裕福といわれていた
ヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニ候のために描かれたものです。
いわゆるパトロンですね。
描かれている天使は持っている矢からもお察しの通りキューピッドなんですが、
この「愛の象徴」ともいえるキューピッドが
床に散らばっているペンや楽譜、楽器なんかを踏みつけにしているわけです。
このペンや楽譜、楽器は人間の活動を指している、
つまり人間の知的な活動を愛をつかさどるキューピッドが人間の活動をあざ笑っている
ということで
愛は何にも勝つと考えることもできますし、
依頼主のヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニの音楽などの偉業をたたえて
「ヴィンチェンツォ家最強」みたいなメッセージともとれます。
実際、ヴィンチェンツォ・ジュスティニアーニはこの絵をかなり大事にしていたそうです。
レンブラント・ファン・レイン
他の記事でもレンブラントはめちゃめちゃ紹介しているんですが、
やっぱりバロック美術には欠かせない存在なので今回も紹介します。
バロック時代は「キアロスクーロ」がめちゃめちゃ使われたとは言いましたが、
「夜警」なんかにもみられるように
レンブラントはキアロスクーロをかなり使ってますね。
リアルタッチで基本に沿った油絵を描いてくれるので
勉強にもなるし見ごたえもある作品ばかりです。
ちなみにレンブラントと同時代のフェルメールもバロック時代を代表する画家の1人です。
詳しくはこちら
レンブラントの作品
そんなレンブラントの代表作といえば、「夜警」
ですが、どうせならレンブラントの他の絵も見てみよう!
ということで、今回はレンブラントの自画像を紹介したいと思います。
ゴッホが自画像を多く残したことは有名ですが、
実はレンブラントもかなり自画像を多く残した画家なんです。
当時、絵は依頼されて描くものが多かったため、
画家の自画像は買い手がおらず全く人気がありませんでした。
ではなぜレンブラントは自画像を描いていたのかというと、
単に自分の絵の技術の成長のために描いていたんですね。
肖像画というのは、
その肖像画に描かれる人物の内面なんかを表現するものが人気があったのですが、
レンブラントの絵もこのようなタイプのものです。
レンブラントはいろんな作品に自分の自画像を入れているので、
日記のような感覚で自画像を描いていたのだと思います。
特にレンブラントの晩年の1658年の自画像は
色使いも複雑で、しかしリアルでもあり調和しているというレンブラントの傑作です。
ピーテル・パウル・ルーベンス
名前は一度は聞いたことがあるんじゃないかと思いますが、
ルーベンス(1577.6.28~1640.5.30)もバロック時代の有名画家です。
ちなみにこのルーベンスって人、画家として有名なのはもちろんですが
実はそれ以外もかなり有能な人でした。
古典の知識が豊富で人文学者としても活躍しましたし、
7か国語を話す有能な外交官でもありました。
すごい人ですね…。
このような功績をたたえられて、ルーベンスはナイトの爵位をあたえられました。
ルーベンスの作品
ルーベンスの作品といえば、「キリスト昇架」(1610~1611)です。
この作品は、
ルーベンスの国ネーデルラントでバロック様式が流行するきっかけになりました。
この作品はアントウェルペンの聖母大聖堂にあるパネルなのですが、
三面鏡のように開くようになっていて左右のパネルの後ろにも絵があります。
黒い背景の中にリアルタッチの人間が浮かび上がるように描かれている
バロック美術の典型的な作品です。
ちなみに、この作品と対になる「キリスト降架」も描いています。
その他の有名画家についてはこちら
まとめ
・バロック美術は16~17世紀のイタリアで流行した美術様式
・激しくドラマチックな絵画が多い
・バロック時代を代表する作家としては、カラヴァッジオやルーベンスなどがいる
「キアロスクーロ」などを多用するためドラマチックな作風になりやすいバロック美術。
作品を見たときも見ごたえがありますし、
自分の絵画に応用してもぐっと見栄えが良くなります。
バロック時代の美術をぜひ自分の作品にも取り入れてみてくださいね!
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