fbpx

絵画「民衆を導く自由の女神」を描いた画家・ドラクロワを解説!

記事の内容

・絵画「民衆を導く自由の女神」の解説

・作者のドラクロワについて解説

この記事を読むメリット

・名画「民衆を導く自由の女神」とフランスの歴史がより楽しめる

絵画「民衆を導く自由の女神」を描いた画家・ドラクロワを解説!

こんにちは。松河潤です。

絵画は美術品でもあり社会を表す歴史の遺産でもあります。

絵画を見れば、それが描かれた当時の社会のこともわかる、

なんてことは結構あります。

「民衆を導く自由の女神」なんかもそうです。

絵画として優れているのはもちろん、

歴史を表すものとしても面白い絵画です。

今回はそんな「民衆を導く自由の女神」とその作者、ドラクロワについて解説していきます!

「民衆を導く自由の女神」とは

「民衆を導く自由の女神」(1830)は

ドラクロワの絵画作品です。

人の山の上に立つ女性と旗と銃…と

なんだか物騒な絵面ですが、

これはフランスで起きた「7月革命」を描いています。

フランスの「7月革命」とは

1830年の7月27日~29日の間に起きた革命のことで、

「栄光の3日間」とも言われています。

当時フランスではルイ18世・シャルル10世という国王がいたのですが、

この王が貴族や聖職者といった社会的地位が高い人を優遇するような政治ばかり行ったのです。

そのような政治には、当時力をつけていた市民も不満を高めていきました。

そのため、7月27日にパリの民衆は三色旗を持って街角でバリケードを張りました。

そしてフランスの政治の要所である

支庁舎やテュイルリー宮殿、ルーブル宮殿などが占拠されました。

そのような民衆の動きを受けて国王は辞退し、

フランスが立憲君主制(憲法で国を治めるという考えの国)になったのです。

そのような7月革命の様子を「民衆を導く自由の女神」はドラマチックに描いています。

女性が持っている三色旗は7月革命の象徴です。

フランス国旗と、マスケット銃を持った女性はマリアンヌ(フランスの自由の女神)です。

男性ではなく女性を描いた理由は、

母性や祖国を表したかったからだと言われています。

女性はフリギア帽という帽子をかぶっているのですが、

これは自由を象徴するようになりました。

女性の後ろにいる男性はドラクロワ自身だと言われています。

革命による民族意識の高まりを感情豊かに描いたロマン主義の代表のような作品です。

他の絵画の様式・主義の記事はこちらから

ドラクロワとは

Félix Nadar 1820-1910 portraits Eugène Delacroix.jpg

ウジェーヌ・ドラクロワ(1798.4.26~1863.8.13)は

フランスのロマン主義の画家です。

新古典主義の画家ピエール=ナルシス・ゲランに弟子入りし、

サロンに出展するまでになりました。

新古典主義を代表するアングルと同時代の画家で、

アングルと同様、ルノワールやゴッホといった印象派の画家に大きな影響を与えました。

アングルについての記事はこちら

アングルといいドラクロワといい、この時代の画家は後世に影響を与えまくってますね。

死後にも影響力のある偉大な画家だということは間違いありません。

ドラクロワの絵画作品

キオス島の虐殺

ドラクロワの絵画といえば、

「民衆を導く自由の女神」に負けず劣らず有名なのが

「キオス島の虐殺」(1823~1824)です。

結構むごい絵面ですが、

これは1822年4月11日にオスマン帝国統治下のギリシアのキオス島で起こった事件で、

当時起こっていたギリシア独立戦争の一環です。

オスマン帝国側の軍隊が、独立派の民衆を弾圧した光景なのですが、

オスマン帝国側の弾圧はかなり過酷だったようです。

当時は写真がなかったので

このような映像を見て

ギリシア独立戦争の様子を知ったヨーロッパ市民はかなりショックを受けました。

ちなみにこの作品をサロンの出展したドラクロワにはかなりの批判が殺到しました。

こんな衝撃的な絵画が出されたら批判が殺到することは何となく想像がつきますが笑

それでもサロンに出展したドラクロワの勇気はものすごいですね…。

アルジェの女たち

Eugène Ferdinand Victor Delacroix 014.jpg

「アルジェの女たち」(1834)は

アルジェリアの権力者のハーレムの側室たちを描いたものです。

当時はオリエンタリズムが人気で、このような異国趣味の絵画がよく作られました。

この作品も印象派などに影響を与え、

ピカソはこの作品の影響を受けて、たくさんのスケッチや連作を描きました。

サルダナパールの死

Eugène Delacroix - La Mort de Sardanapale.jpg

歴史的な出来事や当時の社会情勢などをよく描いたドラクロワですが、

「オフィーリア」のような、戯曲をテーマにした作品も残しています。

「オフィーリア」についてはこちら

この「サルダナパールの死」(1827)は

バイロンの戯曲『サルダナパール』をもとにしています。

サルダナパールは、戦いで負け、

自分の財産を破壊し自分の愛妾を殺すよう命じました。

この作品はそのようなサルダナパールの最期を描いたものです。

温かく明るい色調ですが、

こちらのテーマもなかなか過激ですね…。

まとめ

・「民衆を導く自由の女神」とはドラクロワの作品でフランスの7月革命を描いたもの

・ドラクロワはロマン主義を代表するフランスの画家

・代表作に「キオス島の虐殺」「アルジェの女たち」などがある

絵画には背景を知らなくても楽しめるタイプのものと、

背景を知らないといまいちどんな絵画なのかわからないものとありますが、

ドラクロワは確実に後者です。

ドラクロワの作品を鑑賞するときは、

この記事で読んだことを思い出して、

ドラクロワの作品を120%楽しんでくださいね!

その他の画家についての記事はこちら

「油絵の描き方、本当にこれであってるか不安…」

「油絵が上手くなりたいけど、時間がない…」

そんなあなたはこちらもどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。